耳鼻科的疾患


(Q1)よく鼻血が出ます。血圧も高く心配です。頭の中も心配です。

(Q2)花粉症と言う言葉をよく耳にしますが、どんなものですか?


(Q3)アレルギー性鼻炎とは?

(Q1)よく鼻血が出ます。血圧も高く心配です。頭の中も心配です。

(A1)同じ様な方がたくさん外来に来られます。みなさん鼻血が出ると、しかもなかなか止まらないと、血液が頭の中から出てくるように感じられるのでしょうか。鼻出血の多くは、鼻中隔とよばれる鼻の真ん中の壁の入り口からすぐのところ(約1pのところ、キーセルバッハ部位と言う)から出ます。鼻の壁が曲がっていると傷つきやすいですし、鼻のアレルギーがあれば、鼻かみなどの刺激で出血しやすいようです。まれに全身的に出血しやすい傾向がある場合もあります。まず必要なことは、お近くの耳鼻科で診察検査を受けて出血の原因がなにかを調べることでしょう。治療は、原因に応じて異なりますが、なかなか止まらない時や、頻繁に出る時は、薬品や電気で焼灼する方法があります。薬品の場合は無麻酔で簡単にできますが、効果は不十分です。電気焼灼の場合は、麻酔薬をひたしたガーゼを十五分間ほどいれておけば全く痛みなしで行えます。入院はいりません。気軽にお近くの耳鼻科の先生にご相談下さい。
 さて、ご質問の方のように高血圧で鼻血が出るかどうかです。確かに高血圧で鼻血が出ることは事実ですが、ほかにも原因が無いか調べる必要があります。時には肝臓障害による出血傾向や鼻腔内の腫瘍などが見つかる事もあります。また、頭蓋内の血液が鼻に流れてくることはまれにありますが、顔面の骨が折れている時や、頸動脈が破裂した時などで、普通には起こりません。ですから、鼻血が出た時は頭の中の病気はまず考えないで良いでしょう。
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(Q2)花粉症と言う言葉をよく耳にしますが、どんなものですか?

(A1)今回は花粉症について説明します。テレビなどでも花粉情報を知らせていますが、今が花粉症の時期なのです。植物の花粉が原因で、くしゃみ、鼻水(水性鼻汁)、鼻づまり(鼻閉)、目のかゆみなどの症状を起こす病気を花粉症(花粉によるアレルギー性鼻炎)といいます。始まりは突然で、去年まで何の症状もなかった人が、多くは春先のある日、立て続けのくしゃみと止まらない鼻水に悩まされるようになります。それは花粉が飛ぶ季節の間続いて、花粉がなくなると自然におさまってきます。しかし一度花粉症になると、翌年以降、季節の到来とともに再び症状が出始めます。花粉症の患者さんは都市化が進むとともに増え、今や日本人の十人に一人が花粉症だといわれています。花粉症は20〜40歳代に多く、また女性により多い病気です。
 わが国ではスギのほか、イネ科、ブタクサの花粉症も多く見られます。本州、四国、九州ではスギ花粉症が中心です。

●花粉が飛び散る時期について
 花粉症の原因となる植物の花が咲き、花粉が飛び始める頃に、花粉症も始まります。花粉の飛ぶ時期は地域によって異なり、また、開花前の気温が高いほど早くなります。スギ花粉の平均的な飛散開始時期は、九州や四国の南部が2月上旬、関東南部が2月中旬、関東北部が2月下旬、東北地方は3月で、気温の上昇に伴って増加し、1ヵ月ほどでピークを迎えます。ヒノキはスギより1ヵ月ほど遅く、ブタクサやヨモギは8〜9月が中心です。 毎日の花粉の飛散量は、その日の天気に大きく左右されます。天気がよく暖かい日には多くなり、雨だったり湿度の高い日は少なくなります。

●花粉症の代表的な症状
1.鼻の症状
@くしゃみ 特徴は続けざまに出ることです。一日中止まらないこともあり、さらに花粉が飛んでいる時期は続きます。A鼻水(水性鼻汁) 特徴は粘りけがなく、水のように透明であることです。B鼻づまり(鼻閉)くしゃみ、鼻水に続いて、突然鼻づまりが見られます。花粉症の鼻づまりは頑固で、両方の鼻が完全につまってしまうこともあります。
2.目の症状 
かゆみが強く涙が出ます。充血、白目やまぶたの腫れ、異物感、めやに、まぶしさ感(羞明)も見られます。
3.のど・耳の症状 
鼻が完全につまると、口で呼吸をせざるをえないため、のどの乾燥や痛みの原因になります。また、花粉がのどの奥まで入り、かゆみやイガイガ感、気管に入ると咳を生じることもあります。耳でも、かゆみやつまるような感じがします。
4.皮膚の症状 
露出している部分にかゆみ、発赤、肌荒れ、ヒリヒリ感が起こります。
5.その他の症状 
花粉を飲み込んだために消化不良や食欲不振を訴えることもあります。また、口で呼吸するために不眠になったり、頭が重い、ぼんやりする、熱っぽい、だるい、イライラするという人もいます。

[以下も参考にして下さい]

●花粉を寄せ付けない工夫
花粉情報を活用する。 飛散時にはできるだけ外出しない。 室内へ花粉を入れないよう、飛散時には窓や戸を開けない。外出のときはマスク、メガネをする。 外出から帰ってきたら、洗眼、うがいをする。
●花粉症を防ぐ服装
外出時にはマスク、めがねなどの防具をつける。
〔症状の重いひとは〕
帽子やスカーフは、髪や顔に花粉がつくのを防ぐ。 長い髪は、花粉がつきにくいように小さくまとめる。 皮膚を露出させないよう、長袖、長ズボン、首筋にはスカーフを巻く。 一番外側に着る服やスカーフは、花粉がつきにくい、織り目がつんだ滑りのよい素材のものにする。
●外出から帰ってきたときの注意
花粉症患者だけでなく、家族全員で実行することが大切。玄関先、戸の外側で、服、持ち物に付いた花粉をブラシで払い落とす。顔や手を洗い、口、目や鼻をすすぐ。
●そのほか 洗濯物やふとんを干したあとは、花粉をよく払い落としてから取り込む。 花粉が飛ぶ季節には、運動する時間帯を工夫したり、室内での運動に変えるなどの注意が必要。 皮膚の鍛練する。 ストレスはできるだけ持たないようにする。 つりあいのとれた食生活をおくる。
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(Q3)アレルギー性鼻炎とは?

 アレルギー性鼻炎は、ダニ・ハウスダストや花粉などによって起こる鼻粘膜のアレルギー性疾患です。これらは生体にとって異物でありアレルゲンと呼ばれ、アレルギーの原因となります。これらを鼻から吸い込むと、生体が過剰に反応し、連続するくしゃみや水性の鼻水、鼻づまりなどの症状がみられます。アレルギー性鼻炎の治療は、アレルギーの原因となる物質の除去・回避が基本となります。しかし、多くの場合、薬物による治療が必要となります。

 アレルギー性鼻炎は、その発症時期によって通年性と季節性に分類されます。通年性はほぼ一年を通して症状がみられます。

 季節性はある季節にのみ発症するもので、そのほとんどはスギやヒノキ、ブタクサなどの花粉によるアレルギー(花粉症)です。 花粉症は通年性に比べ、鼻閉よりくしゃみ・鼻汁の程度が強い場合が多く、眼症状、のどのかゆみを合併することも多いのが特徴です。季節性アレルギー性鼻炎のアレルゲンで最も多いのがスギ花粉です。スギ花粉は沖縄や北海道以外の地域で毎年春になると飛散し、多くの人が症状を訴える花粉症の原因となっております。

 一方通年性アレルギー性鼻炎のアレルゲンには、ハウスダスト・ダニ 、カビなどがあります。ハウスダストには、ダニの死骸や糞、繊維類、動物の毛、食物片、人のフケや動物のアカ、タバコの灰など他種類の物質が含まれています。最近はペットを室内で飼育することが多く、ペットの毛やフケなどがアレルゲンとして多くなっています。また、近年ペットとして増加しているハムスターは、アレルギーを起こしやすいため注意が必要です。

 アレルギーによる鼻炎かどうかを調べる検査で、鼻汁(鼻水)のなかの好酸球(白血球の一種)の数を測定します。方法はスライドガラスにとった鼻汁に試薬を加え顕微鏡で観察します。好酸球数が増加していればアレルギー性鼻炎が疑われます。

鼻汁中好酸球検査
アレルギーによる鼻炎かどうかを調べる検査で、鼻汁(鼻水)のなかの好酸球(白血球の一種)の数を測定します。好酸球数が増加していればアレルギー性鼻炎が疑われます。

アレルゲン検査
アレルギーの原因となる物質を特定する検査です。アレルゲン検査は、血液検査と皮膚反応検査の2種類に分けられます。皮膚による検査では、安価かつ短時間で直接結果を確認することができますが、皮膚にかゆみ・はれがしばらく残ることがあります。血液検査は採血によりアレルゲンをほぼ特定できますが、結果が出るまでに数日かかり、皮膚反応検査より高価です。

 アレルギー性鼻炎の治療は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)の除去・回避、薬物療法、特異的免疫療法(減感作療法)、手術療法に分けられます。
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